回想録・2
数日振りの私の家。
惨憺たるもの。
刃物みたいな空気の空間。
でももう、我慢しなくていいんだなあ・・・
覚悟は決めてたんだから。
対峙するとき。
終わりの始まり。
まず初めに。
お詫びしたくなる。
この度の夫の不機嫌さの理由が、どれだけくだらなかったか。
こんなことを記事にしてしまって申し訳なくて。
先月末頃、『海』と夜デートをしました。
私は夫が夜に予定あるときは、私の予定を当然入れません。
夫から、用事があると聞いてない日と、『海』の都合をきいて。
それと。
私がお出掛けしたいと言えば、夫は早く帰って来てくれるのですが、急かしてしまうのも申し訳ないので、つなぎで、私の母にお留守番を頼んでいます。夫がそこまで慌てなくてもよいように。
なので、夫と母と『海』の都合を聞いて、日程を決めている。
このときたまたま母も忙しく、母の返答が少し遅くなってしまった。
ので、結果的に前日に夫に、明日夜に出掛けると、告げることになってしまった。
もちろん、その日は夫の予定があると聞いていなかったから、直前だけどその日に決めた。
それがいけなかったのらしい。
その日は夫にも用事があったのらしい。
突然私が出掛けると言ったせいで夫は自分の予定を諦めたのだそう。
私の、たかが飲み会と、
夫の、年度末の大切な飲み会と、
どっちが大事かわからないのかと。
責められた。
自分だって前日まで予定が入ったこと言ってないのに。
自分だって用事あるって聞いたなら、私も当然譲るのに。
何もせず何も言わずに勝手に腹を立てていた。
呆れるにもほどがある。
どうしようもなく、うんざりした。
もう、躊躇う必要なんて、これっぽちもない。
話を全部した、と思う。
怒りと呆れ過ぎたのと、今までの不満と。
流石に冷静ではいられなかったから、
正確に全部は覚えていないけれど。
ちゃんと話したとは思う。
私の、条件も。
それを話しても、少しも動ぜず受け入れられちゃって、
私のこの十数年はなんだったんだろうなあなんて、
少し虚しく思えたけど。
とにかく、話した。
始まった。
終わるため。
私の人生が、動く。
動き始めた夜。
これからどうなるのか、不安が大きすぎて、
その姿が全部は見えない。
でも。
また新しい、未来への道を拓くチャンスを手に出来たこと。
これってすごいことだって。
喜ぶところだよ。
愉しみにしていいところだよ。
そんな風に励ましながら。
これから考えなくちゃいけないことがどれだけあるだろう。
だから。
ひとやすみ。
この夜に至るまでも、頑張ったから。
夜。
これから考えなくちゃいけないことがやまほどあるから、
何も考えずに寝ようって思って、
寝たのか寝れなかったのか、
あんまり覚えていない。
朝がきて。
目を覚ましたんだから、寝てはいたらしい。
朝。
洗面台に立っていたら、夫が起きてきた。
ぎくり、と思った。
「おはよう」って言われて。
ああ、無視は辞めたのかって思いながら
おはようって言いかけたら、
後ろから抱き締められた。
「ごめん」
「俺が悪かった」
私は、驚きすぎて言葉が出ない。
夫は、謝らない人だったから。
ふざけているときでも、なんだかんだ、謝らない。
まして、誠心誠意謝るなんて、一度も見たことない。
その夫が謝っていた。
「お前がいないとダメだよ」
「いてくれないとダメだ・・・!」
私は。
驚きすぎて、その許しを受け入れてしまった。
でも。
抱き締められて、身体の向きを変えられて、キスされて。
苦痛でした。
もう、どこを探しても、夫への気持ちは、からっぽだった。
驚いたショックで、受け入れて、それで良かったのか、
今もわからない。
でも受け入れた以上、最低限、『嫌いじゃないフリ』はしなくてはならない。
これでいい、わけないと思うけど。
そして数日後、義父が亡くなる。
続きます。
一気に伝えられなくて、すいません。